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薬剤師はいらない・いらなくなるか?AIの急速な進化で薬剤師に勝機はあるか

AIの急速な進化により薬剤師はいらなくなるのでしょうか?

現在、受験生の薬学部回避が起きています。

受験生が集まらず廃部にする大学が現れたり、私の出身学部でも受験倍率が私が受験した頃の半分にまで下がっています。

過去には、先生が子弟に薬学部を受験するよう勧めたものですが‥。

目次

薬剤師はいらない、いらなくなると言われる根拠

最大12万6000人が過剰になる

薬剤師の需給推計

厚労省が2021年4月に行った「第8回薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」では、

薬剤師数は、2045年には最大で12万6000人、少なくても2万4000人が過剰になる」と発表。

最大で12万6000人が過剰だということは、薬剤師の10人に3人が失業する、という計算。

同検討会の推算によると、薬剤師の需要は、現在の32万人から2045年には33万2000人40万8000人あたり。

一方、薬剤師の供給については、現在の32万5000人から2045年には43万2000人45万8000人と急増の見通し。

同検討会のまとめ

「変動要因を考慮すると、当面は需要と供給は同程度で推移するものの、将来的には、業務の充実により需要が増えると仮定したとしても、供給数が上回ることが予想される」

③人口当たりの薬剤師数は、日本が世界で最多

人口10万人当たりの薬剤師数の国際比較

OECD Health at a Glance 2023を基に作表

上の表は人口10万人当たりの薬剤師数の国際比較ですが、日本はダントツの1位(199人)で、2位のイタリア(128人)以下に大きく水をあけています。

最下位のオランダは22人と少なく、国によって人口当たりの薬剤師数が大きく異なっています。

日本は、世界に例を見ない数の薬剤師が存在

薬剤師が必要であり続ける理由

薬剤師偏在指標から見た充足度

日本全土における現在の薬剤師偏在図
日本全土における2036年の薬剤師偏在図

左表が現在、右表が2036年。赤紫:1.02~、薄橙:1.01~0.99、白色:0.98~0.90、水色:0.89~0.80、紺色:~0.79

厚生労働省 第13回薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会(令和5年)

資料1-1-2 都道府県別薬剤師偏在指数を基に作表

厚労省の「第13回薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」(令和5年)によると、

現在、薬剤師の充足度を表す薬剤師偏在指標が1.00以上なのは、宮城県(1.04)、東京都(1.28)、神奈川県(1.12)、大阪府(1.06)、兵庫県(1.10)、広島県(1.07)、香川県(1.00)、徳島県(1.00)、福岡県(1.10)の9都府県

反対に指標0.80を下回り、薬剤師が著しく不足しているのが、青森県(0.78)と福井県(0.74)の2県

薬剤師が既に過剰になっているとされる2036年においては、多くの都道府県で偏在指標が改善されていますが、それでもなお10の県で薬剤師偏在指標が0.99を下回っており、薬剤師不足が解消されていません

◆2036年に薬剤師偏在指標が0.99を下回っている都道府県と偏在指標

沖縄県鹿児島県大分県宮崎県三重県福井県富山県愛知県群馬県青森県
0.870.980.970.970.940.860.940.960.970.97

都市部はすでに飽和状態。一方、地方は10年後も薬剤師不足が続いていて、活躍できる場所はたくさんあります

病院薬剤師に限ってみると

日本全土における現在の病院薬剤師偏在図
日本全土における2036年の病院薬剤師偏在図

左表が現在、右表が2036年。赤紫:1.02~、白色:0.98~0.90、水色:0.89~0.80、紺色:~0.79

厚生労働省 第13回薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会(令和5年)

資料1-1-2 都道府県別薬剤師偏在指数を基に作表

病院薬剤師に限ってみると、現在、病院薬剤師が充足している都道府県は1つもなく、2036年においても徳島県(1.07)を除いた46の都道府県で病院薬剤師が不足する見込みです。

AIと薬剤師の関係は

2020年に薬剤師の仕事が高い確率でAIに取って代わられる可能性があるというデータが示されました。

従来から薬剤師の主な業務は対物作業が中心だったため、この予測がなされたのでしょう。

リクルートワークス研究所が行った『全国就業実態パネル調査2020』

引用:リクルートワークス研究所が行った『全国就業実態パネル調査2020』

しかし現在、薬剤師の業務は大きな転換期を迎えています

従来の対物作業から対人中心の業務へと移行しつつあり、かつてはピッキングや袋詰めなど、資格がなくてもできる作業が薬剤師の主な仕事でした。

しかし、現在は処方チェック、服薬指導、ポリファーマシーの減薬提案など、専門的で高度な薬学知識やコミュニケーション力が求められる業務が中心になりつつあります。

さらに、薬剤師が臨床や日常診療に積極的に関与し、医療の質を向上させることへの期待も高まっています

そのため、AIによって薬剤師の仕事が完全に代替される可能性は低いといえます。

AIは、むしろ薬剤師の業務を効率化する役割を担うでしょう。

患者数の多い調剤薬局では、薬歴のSOAP記録作成が大きな負担となっていますが、現在、AIが薬剤師の代わりにSOAPを作成する技術が開発されています。

そうなると薬歴を書くために残業する機会も減ります。

つまり、AIは薬剤師の仕事を奪うのではなく、省力化し、より重要な業務に集中できるよう支援する存在なのです。

薬剤師は一般に多科にわたる広い薬の知識があるため、医師が専門外の薬を処方しなければならなくなった時に薬剤師に意見が求められることがあります。

まとめ

近年、AIの急速な進化により、薬剤師の仕事が不要になるのではないかと考えられがちです。

しかし、現実には、AIが薬剤師の役割を完全に代替することはなく、むしろ業務の一部を効率化することで薬剤師がより重要な役割に集中できるようになるでしょう。

ただし、対物業務に依存する一部の薬剤師には影響があるかもしれません。

今後、薬剤師はAIを活用しながら、患者とのコミュニケーションや専門的な判断が求められる業務に注力していくことが重要になりそうです。

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