現在、日本では人口減少にもかかわらず長寿化により認知症患者は年々増加しており、2022年(令和4年)には443.2万人(厚生労働省研究班2024年5月調査)。
これは日本最大の都市である横浜市の人口377.2万人をはるかに超えています。
「家族信託」は、認知症を発症した際に銀行口座や不動産取引の凍結を防ぐ、代表的な認知症対策です。
しかし家族信託が有効なことは理解していても、コストが気になり、なかなか次に踏み出せない方もいらっしゃるでしょう。
トリニティ・テクノロジー(株)の「おやとこ」は、5.5万円(税込)からの低価格をうたい、一方(株)ファミトラの「ファミトラ」は、独自のシステムの力で効率化を図り低価格化を実現したとしています。
どちらも低価格に自信を持っています。
では具体的にはどのような費用になるのでしょうか?
シミュレーションで比較検討しました。
信託に組み入れる財産は、金銭(預金)と固定資産の比率、または土地と建物の比率などによって様々なパターンが存在しますが、ここでは比較しやすいように3つのパターンに単純化して総コストをシミュレーションしました。
- 金銭(預金)のみで固定資産がない場合
- 金銭(預金):固定資産評価額=1:1の場合
- 固定資産のみで金銭(預金)がない場合
信託に必要な各種費用の詳細
家族信託はもともとアメリカ合衆国で発達した制度で、2006年の小泉内閣時に信託法が改正され(翌2007年施行)、日本にも導入されました。
参照:法務省 信託法改正要綱;(一社)信託協会 法改正と現在の信託
家族信託にかかる費用として、
- コンサルティング費用
- 信託契約書作成費用
- 司法書士による登記代行費用
- 登録免許税
- 公正証書作成費用(任意)
があります。
①コンサルティング費用
家族信託の設計・信託契約書の文案作成に関するコンサルティング報酬。
信託財産の評価額を基に算定します。
「おやとこ」の場合
信託財産額が500万円以下の場合は、最低料金5.5万円(税込)に固定。
500万円超~1億円までは信託財産評価額×1.1%、1億円超〜3億円までは×0.55%、3億円超の部分については信託財産の額が増えるほどパーセンテージが下がります。
「ファミトラ」の場合
信託財産額が3,000万円以下の場合は、最低料金33万円(税込)に固定。
3000万円超~1億円までは信託財産評価額×1.1%、1億円超~3億円までは×0.55%、3億円超~5億円までは×0.33%。
信託財産の額が増えるほど料率が下がります。
②信託契約書作成費用
信託契約書を弁護士などの法律専門職に作成してもらうことに対して支払う報酬。
「おやとこ」では、この費用をコンサルティング費用に含めています。
15万~30万円が相場。
③司法書士による登記代行費用
家族信託に不動産を入れる場合、信託契約後に信託の登記手続きが必要で、これにより受託者(子など)の名前を登記簿に掲載します。
手続きは登記の専門家である司法書士が行うため代行費用が必要となります。
5万円~10万円が相場。
④登録免許税
家族信託に不動産を入れる場合、「登録免許税」という税金がかかります。
登録免許税は、信託財産となる不動産や土地の評価額(=固定資産税評価額)に税率をかけて計算します。
税 率 | 例 | |
土 地 | 0.3% | 土地2,000万円の場合 2,000万円×0.3=6万円 |
建 物 | 0.4% | 建物2,000万円の場合 2,000万円×0.4=8万円 |
⑤公正証書作成費用
公正証書の作成は任意ですが、作成しておくことにより、
- 契約書を紛失しても再発行が可能。
- 作成当時に本人(親など)の意思判断能力があったことの証明になる。
- 金融機関によっては公正証書の提出がないと信託口口座が作れない。
- 受託者(子など)が金融機関からの融資が受けやすくなる。
などのメリットがあります。
目的の価額 | 手数料 | |
100万円以下 | 5000円 | |
100万円を超え200万円以下 | 7000円 | |
200万円を超え500万円以下 | 11000円 | |
500万円を超え1000万円以下 | 17000円 | |
1000万円を超え3000万円以下 | 23000円 | |
3000万円を超え5000万円以下 | 29000円 | |
5000万円を超え1億円以下 | 43000円 | |
1億円を超え3億円以下4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額 |
継続費用
おやとこ | ファミトラ |
2,728円(税込)/月 | 1,628円(税込)/月 |
おやとこは、2,728円(税込)/月。
ファミトラは、2025年4月1日から1,628円(税込)/月になりました。
どちらも家族信託の運用⽅法・不動産の処分・税務・相続対策など、契約後のお困りごとを幅広く相談できます。
また、どちらもスマホで簡単・便利に信託財産の管理ができる家族信託専用アプリを提供しています。

公表されている体験談や口コミを総合すると、
「おやとこ」では、専用アプリが使いやすく便利だ、とするコメントが多く、
「ファミトラ」では、信託監督人が受託者(主に子)に無償でつくことで、受託者(主に子)の不安を取り除いてくれたり、受託者(主に子)が委託者(親)の意に反する行動をとっていないか半年に1度チェックしてくれるので安心、とするコメントが目立ちます。
「おやとこ」と「ファミトラ」の費用比較
シミュレーション①「金銭(預金)のみ」の場合
最初に、家族信託にくみ入れる財産が「金銭(預金)のみで固定資産はない」場合をシミュレーションします。
おやとこの初期費用

(※家族信託の「おやとこ」ホームページ内「おやとこの料金」を基に作成)
計算条件
コンサルティング費用 | 信託財産評価額が1億円までは1.1%、1億円超〜3億円で0.55% | |
信託契約書作成費用 | コンサルティング費用に含まれる | |
公正証書作成費用 (実際は任意ですがここでは計算に加えています) | 100万円以下 | 5000円 |
100万円を超え200万円以下 | 7000円 | |
200万円を超え500万円以下 | 11000円 | |
500万円を超え1000万円以下 | 17000円 | |
1000万円を超え3000万円以下 | 23000円 | |
3000万円を超え5000万円以下 | 29000円 | |
5000万円を超え1億円以下 | 43000円 | |
1億円を超え3億円以下4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額 |
シミュレーションの結果、
- 信託金額が3000万円で、費用が35.3万円
- 信託金額が5000万円で、費用が57.9万円
- 信託金額が1億円の場合で、費用が114.3万円
- 信託金額が2億円の場合で、費用が171.9万円
金銭(預金)のみの家族信託では、コンサルティング費用と公正証書作成費用(任意)以外の費用がかからず割安です。
ファミトラの初期費用

(※ファミトラホームページ・「ファミトラサービスガイド」を基に作成)
計算条件
コンサルティング費用 | 信託財産評価額が3,000万円以下の場合は330,000円に固定、3,000万円~1億円で1.1%、1億円超〜3億円で0.55% | |
信託契約書作成費用 | 信託財産評価額が3,000万円未満で22万円、3,000万円以上5,000万円未満で27.5万円、5,000万円以上で33万円 | |
公正証書作成費用 (実際は任意ですがここでは計算に加えています) | 100万円以下 | 5000円 |
100万円を超え200万円以下 | 7000円 | |
200万円を超え500万円以下 | 11000円 | |
500万円を超え1000万円以下 | 17000円 | |
1000万円を超え3000万円以下 | 23000円 | |
3000万円を超え5000万円以下 | 29000円 | |
5000万円を超え1億円以下 | 43000円 | |
1億円を超え3億円以下4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額 |
シミュレーションの結果、
- 信託金額が3000万円で、費用が62.8万円
- 信託金額が5000万円で、費用が90.9万円
- 信託金額が1億円の場合で、費用が147.3万円
- 信託金額が2億円の場合で、費用が204.9万円
金銭(預金)のみ家族信託では、コンサルティング費用・信託契約書作成費用・公正証書作成費用(任意)以外の費用がかからず割安です。
2社の初期費用比較

上のグラフを見ると、500万~3億円のすべての信託金額で、おやとこがファミトラより安めです。
金銭のみの認知症対策であれば、メガバンクを中心に行っている「代理人届出制度」も選択肢になります。
シミュレーション②「金銭(預金):固定資産評価額=1:1」の場合
次に、家族信託に組み入れる金銭(預金)と固定資産が同額である場合をシミュレーションします。
例えば、信託金額が5000万円であれば、そのうち金銭(預金)が2500万円、土地や建物などの固定資産が2500万円です。
おやとこの初期費用

計算条件
コンサルティング費用 | 信託財産評価額が1億円までは1.1%、1億円超〜3億円で0.55% | |
信託契約書作成費用 | コンサルティング費用に含まれる | |
司法書士による登記代行費用 | 8万円 | |
登録免許税 | 0.35% | |
公正証書作成費用 (実際は任意ですがここでは計算に加えています) | 100万円以下 | 5000円 |
100万円を超え200万円以下 | 7000円 | |
200万円を超え500万円以下 | 11000円 | |
500万円を超え1000万円以下 | 17000円 | |
1000万円を超え3000万円以下 | 23000円 | |
3000万円を超え5000万円以下 | 29000円 | |
5000万円を超え1億円以下 | 43000円 | |
1億円を超え3億円以下4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額 |
シミュレーションの結果、
- 信託金額が3000万円で、費用が48.6万円
- 信託金額が5000万円で、費用が74.7万円
- 信託金額が1億円の場合で、費用が139.8万円
- 信託金額が2億円の場合で、費用が214.9万円
「①金銭(預金)のみの場合」と比べ、登記費用と登録免許税がかかる分、費用が高くなりました。
ファミトラの初期費用

計算条件
コンサルティング費用 | 信託財産評価額が3,000万円以下の場合は330,000円に固定、3,000万円~1億円で1.1%、1億円超〜3億円で0.55% | |
信託契約書作成費用 | 信託財産評価額が3,000万円未満で22万円、3,000万円以上5,000万円未満で27.5万円、5,000万円以上で33万円 | |
司法書士による登記代行費用 | 8万円 | |
登録免許税 | 0.35% | |
公正証書作成費用 (実際は任意ですがここでは計算に加えています) | 100万円以下 | 5000円 |
100万円を超え200万円以下 | 7000円 | |
200万円を超え500万円以下 | 11000円 | |
500万円を超え1000万円以下 | 17000円 | |
1000万円を超え3000万円以下 | 23000円 | |
3000万円を超え5000万円以下 | 29000円 | |
5000万円を超え1億円以下 | 43000円 | |
1億円を超え3億円以下4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額 |
シミュレーションの結果、
- 信託金額が3000万円で、費用が76.1万円
- 信託金額が5000万円で、費用が107.7万円
- 信託金額が1億円の場合で、費用が172.8万円
- 信託金額が2億円の場合で、費用が247.9万円
「①金銭(預金)のみの場合」と比べ、登記費用と登録免許税がかかる分、費用が高くなりました。
2社の初期費用比較

上のグラフを見ると、500万~3億円のすべての信託金額で、おやとこがファミトラより安めです。
シミュレーション③「固定資産のみ」の場合
最後に家族信託にくみ入れる財産が「固定資産のみで金銭がない」場合を計算・比較しました。
おやとこの初期費用

計算条件
コンサルティング費用 | 信託財産評価額が1億円までは1.1%、1億円超〜3億円で0.55% | |
信託契約書作成費用 | コンサルティング費用に含まれる | |
司法書士による登記代行費用 | 8万円 | |
登録免許税 | 0.35% | |
公正証書作成費用 (実際は任意ですがここでは計算に加えています) | 100万円以下 | 5000円 |
100万円を超え200万円以下 | 7000円 | |
200万円を超え500万円以下 | 11000円 | |
500万円を超え1000万円以下 | 17000円 | |
1000万円を超え3000万円以下 | 23000円 | |
3000万円を超え5000万円以下 | 29000円 | |
5000万円を超え1億円以下 | 43000円 | |
1億円を超え3億円以下4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額 |
シミュレーションの結果、
- 信託金額が3000万円で、費用が53.8万円
- 信託金額が5000万円で、費用が83.4万円
- 信託金額が1億円の場合で、費用が157.3万円
- 信託金額が2億円の場合で、費用が242.9万円
グラフを見ると、緑色の登録免許税が占める割合が大きくなってきました。
\ご家族に寄り添ったサポート、サービス満足度96%/
無料電話相談
0120-214-097ファミトラの初期費用

計算条件
コンサルティング費用 | 信託財産評価額が3,000万円以下の場合は330,000円に固定、3,000万円~1億円で1.1%、1億円超〜3億円で0.55% | |
信託契約書作成費用 | 信託財産評価額が3,000万円未満で22万円、3,000万円以上5,000万円未満で27.5万円、5,000万円以上で33万円 | |
司法書士による登記代行費用 | 8万円 | |
登録免許税 | 0.35% | |
公正証書作成費用 (実際は任意ですがここでは計算に加えています) | 100万円以下 | 5000円 |
100万円を超え200万円以下 | 7000円 | |
200万円を超え500万円以下 | 11000円 | |
500万円を超え1000万円以下 | 17000円 | |
1000万円を超え3000万円以下 | 23000円 | |
3000万円を超え5000万円以下 | 29000円 | |
5000万円を超え1億円以下 | 43000円 | |
1億円を超え3億円以下4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額 |
シミュレーションの結果、
- 信託金額が3000万円で、費用が81.3万円
- 信託金額が5000万円で、費用が116.4万円
- 信託金額が1億円の場合で、費用が190.3万円
- 信託金額が2億円の場合で、費用が282.9万円
グラフを見ると、緑色の登録免許税が占める割合が大きくなってきました。
2社の初期費用比較

上のグラフを見ると、500万~3億円のすべての信託金額で、おやとこがファミトラより安めです。
実際の家族信託では、全財産を信託しなければいけないわけではありません。
金銭のみや固定資産のみの信託でもよく、さらには固定資産の一部のみの信託もできます。
まとめ
以上、おやとことファミトラを利用した際にかかる初期費用について、家族信託に組み入れる財産を
- 金銭(預金)のみの場合
- 金銭(預金):固定資産評価額=1:1の場合
- 固定資産のみの場合
この3つのパターンに分けて比較・検討してきました。
その結果、おやとこ・ファミトラはともに他社より低価格ですが、おやとこは更に低価格であることがわかりました。
反面、継続費用については、ファミトラはおやとこよりお安く、信託期間が長くなると両者の総費用の差は縮まっていきます。
「おやとこ」と「ファミトラ」の、費用を含めた総合的な比較を以下の記事で行っています。


- 高品質かつ業界随一5.5万円からの低価格。
- 信託組成後も各種相談・困り事に真摯に対応。
- サービス満足度96%(2023年8月自社顧客調査結果)
- 無料電話相談を行っています。
0120-214-097
\ご家族に寄り添ったサポート、サービス満足度96%/